*32話*
「むむ、貴様はユーリ・ローウェル。この前はよくも!!ここであったが百年目、今日
こそお縄につくのであーる」
「って、この前のことま〜だ根に持ってやがったのかよ。しつこい男は嫌われるぜ」
ユーリの姿を視界に入れた途端に目をぎっと吊り上げたアデコールに、ユーリはどこか
うんざりしたような顔をした。
「う、うるさいのである。この前の公務執行妨害。さらにその前の貴族街での窃盗騒ぎ、
それにその前は・・・・・・」
「図星なのかよ・・・・てか貴族街のは向こうが盗んだから取り返しただけじゃねえか。
窃盗したのはあっちだろうが」
「被害者の方が訴えてきているのであーる。ええい、いいわけは牢屋でゆっくり聞いて
やるのであーる。つべこべ言わずにお縄につくのであーる!!!」
「おっと・・・誰が捕まるかよっ」
完全に女性からユーリへとターゲットを変えているアデコールに不敵な笑みを浮かべた
ユーリだったが、アデコールの後ろで他の騎士が女性の腕を掴んで乱暴に引き立てよう
としているのが見えた途端、切れ長な瞳に冷たい光が走った。
「蒼破!!」
剣を抜くと同時に技をその騎士に向かってはなった。
振るわれた刃からは蒼い衝撃波が放たれ真っ直ぐに飛んでゆく。
必死で抵抗している女性をにやにやと嫌な笑いを浮かべながら曳きたてていた騎士は、
自分に向かってくるそれに気付かずにまともに衝撃をくらって吹っ飛ばされる。
「ユーリ・ローウェル、きさまっ。公務執行妨害の上乗せがしたいのであるか!!」
「っは、んなもんいくらでもしてやるさ。ちゃんと後で払うってんだろ。無理やり引っ
立てるような事かよ。こんなのいつもの事じゃねえか」
激昂したように叫ぶアデコールに吐き捨てるように言い、不機嫌そうに抜き身の剣で軽
く肩をたたきながら後半のセリフを吹き飛ばされて倒れた騎士に向かって言った。
吹き飛ばされた騎士は当たり所がよかったのか、よろめきながらもすぐに体を起こした。
「き・・・・き・・さま・・・・・」
所々擦り傷が出来た顔を怒りの赤に染めて憎悪の視線を送ってくる。
「こんな事をしてただですむと思っているのかっ!」
「ん〜?さあどうなるんだっけか?残念ながら日常の一風景過ぎて思い出せねえわ」
人を食ったようなその答えに、騎士は赤い顔をさらに赤く染め言葉にすらなっていない
叫びを上げて切りかかってきた。
それを身を引く動作だけでかわし、擦れ違いざまに首筋に一撃を加えて今度はきっちり
と相手を気絶させる。
「よくも私の部下を!覚悟するのであーる」
「前に聞いたときは同僚とか言ってなかったか?」
仲間を気絶させられた事に激昂して切りかかってきたアデコールの叫びに、呆れたよう
な口調で突っ込みを入れつつユーリはその一撃をこれまたあっさりとかわす。
かわしついでにその背中に蹴りを一つおまけして。
「わっ!!!っと、っと、とおおおおおおおおおおっ」
哀れアデコールは蹴りつけられた勢いを殺せないまま転びそうになる。
踏ん張ろうにもあるべき場所に地面はなく、あったのはただ流れる水ばかり。
かくして下町の片隅で、派手な水音と共に大きな水柱が上がる事になった。
そして話は冒頭へと戻る。
ルークinヴェスペリア第32話をお送りしました。
ようやくユーリのパートが終わりました。
長かった・・・・・・・
次からはまた癒しのルークが戻ってきます。
時間の経過も・・・・・・・早くなるといいな・・・・・・(遠い目)
続きはのんびり待ってください。
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