*28話*














混乱した頭がはじき出した問いに、ユーリは一瞬混乱した。

自分は一体何を言っているんだと。

誰って、ルークに決まっているだろうが



――――――だが

その意味不明とも取れる問いに、問いかけられたものはただ静かに微笑んだ。

どこまでも穏やかな笑み。



「わたしの名を問うか―――“凛々の明星”よ」

「?」



気が狂ったと取られても仕方がないような問いに対する答えは肯定。

おまけについてきたのは理解できない呼び名。

なんで星の名前?

疑問に思いながらも否定されなかった事に、ユーリは眉を寄せた。



「・・・・・否定はしねえってか」

「我が愛し子がお前の元に降りたのもまた――――必然・・・か」

「で、あんたは誰なんだ。ルークはどうしたんだ」

「必然なれど、この子供にはまた辛い道となろう・・・・」

「って、俺の言葉は総無視かよ」



全く成り立たない会話にユーリは苛立たしげに頭をかいた。

こちらの言葉を全く聞いていないこの何者かに苛立ちを覚えるが、言っている内容は色々と引っかかる事が多い。

沸きあがってくる苛立たしさを抑えようと、隣でいまだに唸り続けているラピードの背中を撫でようと手を伸ばした

ときだった。

突然伸びてきた手に、手を掴まれた。

まるで糸につられているような動きでユーリの腕を掴んできたその手には全くといっていいほど力が入っていなかっ

た。

それでも何故か振り払う事ができなかった。

その手を辿るように視線をルークの顔にやったとき、うつろなれどきらめく焔が宿った瞳にぶつかる。



「この子供を頼んだ・・・・・辛い道・・・されど・・光は・・・る・・・私の・・い・とし・・ご・・・・・・ど

うか幸せ・・・に・・・・・・わ・・は・・・もう・・・・傍には・・・れ、な・・・・・・・ど・・・か・・・」



ユーリの問いに対する答えを最後まで口にする事がないまま、ルークの声がどんどん小さくなっていく。

何かに遮られていくように言葉が途切れ途切れになりながらも、何かを必死に伝えようとするように言葉がルークの

唇から紡がれ続け、そして―――――途切れた。

言葉が途切れると同時にユーリの腕を掴んでいた手が落ちた。

吊り上げていた糸を切られた操り人形のような動きだった。

うつろな色を宿していた瞳もいつの間にか閉じられ、途切れ途切れでありながらも言葉をつむぎ続けていた唇からは、

眠っている事を示す穏やかな呼吸音が聞こえていた。

ずっと唸り続けていたラピードもルークの言葉が途切れた時から常の状態に戻っていた。

先ほどまでの事が嘘のようなその様子に、ユーリは眉をひそめた。



「一体なんだったんだ、今のは」



ルークの中に別の何かが入って、それがルークの口を使ってしゃべっていたのは分かる。

それはルークの中にいた何かが肯定した。

だが、何故ルークの中に別の何かが入るという事態が起こるのだろう。



「答えを知るには情報が足りなさ過ぎるか・・・・・・」



結局声の主はユーリの問いに対しての答えを何一つ答える事はしなかった。

ただ一方的に伝えてきただけ。



「それにしても“凛々の明星”って・・・・・俺は星じゃねえぞ」



全く理解できない事ばかりだ。

相手が呼びかけてきた名前も、言っていた内容も。

まだ出会って2日しかたっていない。

確定はしていないが確信はしているルークがこの世界の者ではないという事実。



「納得はしてるけど、理解できないばっかだな」



日々を積み重ねれば理解できる事も増えるのだろうか・・・・・・。

湧き上がってくるため息を抑えることなく吐き出すと、ユーリはベッドからたれたままになっているルークの手をベ

ッドの上に戻してやった。











ルークinヴェスペリア第28話をお送りしました。

ユーリとローレライの一方通行な会話をお送りしました。
ものすごい難産な話でした。
一番詰まったのがユーリの呼び名。
他にも色々候補があったんですが、上手いのが思いつかなくて結局無難なところに落ち着きました。
ローレライは未来が分かるんじゃないかと勝手に思ってます。
ただオールドラントと違って断片的にだったりすると色々面白いですよね。

この所いつも以上にすごいスランプに陥っていまして、続きを上げるのが遅くなってすみません(汗)
色々と気に入らないところがあるんで、スランプが終わったらこっそりと書き換えるかも・・・・・・


続きはのんびり待ってください。








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