*25話*














「ルーク、誤解だから。ユーリだとは言ったけど、落ちたって意味じゃ・・・・・・ルーク?」



扉に突進するような勢いで外に飛び出たルークの後を追って外に飛び出たテッドは、入り口の前で固まっている

ルークに訝しげな声を上げた。

一体なにがあったのかと首をかしげながらも、その視線を追うように目の前の光景に目をやって、ようやくルー

クが固まっている理由が分かった。



水路に落ちた騎士の前に立って笑っているユーリ。

その後ろには少し歳のいった女性と幼い子供の姿。



その光景は下町でユーリが騒ぎを起こす事柄の上位に入るだろうもので、説明されるまでもなくその理由をテッ

ドはすぐに把握する事が出来た。

下町に来てまだ2日目のルークには理解しがたい光景である事は言うまでもないだろうが。

何故このような事態になっているのか、その発端を知るには少し時間を遡る必要がある。











いつものように町が目覚め始める時間に目を覚ましたユーリは気だるげに体を起こすと、自分の隣で布団に包ま

って幸せそうな寝息を立てている朱毛の少年に視線をやった。

ユーリが身を起こした事によってルークの顔の上で影が動いたが、わずかに眉がよっただけで目を覚ます気配は

ない。

昨日起きた事が事だけに、無理に起こす事はなくもう少し寝かせておいた方がいいだろうと、ユーリは視線をや

っただけで特に何をするわけでもなく静かにベッドから足を下ろした。

体重移動した際に上がった微かなベッドの軋みを聞きつけたのか、寝床で丸まっていたラピードの耳がぴくりと

動いてまぶたが上がる。

ベッドの横で大きく伸びをしているユーリを確認すると、何事もなかったように閉じられ眠りの中へと戻ってい

った。

寝起きで乱れた髪を適当に手ぐしで整えながら、ユーリは窓を開け放ってもうすでに目覚め始めている下町の通

りを見下ろした。

そこではちょうど彗星の親父さんが今日の仕入れ分の荷物を店の中に運び込んでいた。

まだ完全に頭が起き切っていないのか、わきあがって来る欠伸をかみ殺しながらぼんやりと眺めていると、ちょ

うど空を見上げたところだった親父さんと目が合った。

まだルークが寝ている事もあり、片手をあげて振るだけの軽い挨拶をするに留める。

まだ眠そうなユーリの表情と挨拶に、何となく部屋の中の状況が理解できたのか、笑いながら親父さんも手を上

げての無言の挨拶を返してきた。

そしてにっと笑って、まだ外に山積みになっている荷物を指差し、手招くような動作をする。



「・・・・・・手伝えってか」



なにが言いたいのかその意味を理解してユーリは苦笑いを浮かべた。

断る理由もないのですぐ行くと手で合図して部屋の中に引っ込む。

まだ着替えていなかった寝巻きを脱いで普段着ている黒ずくめの服に着替えつつ、寝床のルークの様子を伺う。

特徴的なはね方をしている朱毛がのぞく布団はゆっくりと上下していて、彼がまだまだ深い眠りの淵にいること

をうかがわせる。

手伝いがどれくらいかかるか分からないが、声を掛ける事はせず穏やかな眠りを妨げないように静かに部屋から

抜け出した。













大きな欠伸をかましながら階段を下りると、窓から見下ろしたときより数を減らした荷物達が見えた。





「よお親父さん。朝から大変だな」

「おはようユーリ。今日は晴れていて仕事日和だろ。ちょうどいい所で起きてきてくれて助かったよ」



ちょうど彗星から出てきた親父さんに声を掛けると、満面の笑みを返された。

よほど誰かの手を借りたかったらしい。



「ちぇ、もう少し遅く起きればよかったぜ」

「はっはっは。残念だったねユーリ」

「全くだ」



力いっぱい同意しつつも、素直に荷物に手を伸ばす。

未だ店の外に詰まれて運び込まれるのを待っている荷物たちを見て、誰かの手を借りたいというその心境が理解

できないわけでもなかったからだ。

が、積み上げられたその量にため息がもれる。

面倒くさいという表情を浮かべながらもユーリは積まれている荷物の一つを抱え上げると店の中へと運び込んだ。









ルークinヴェスペリア第25話をお送りしました。

ユーリが中心の話。
ルークは寝ているのであんまりでません(というか最初だけ・・・・)
次の話から話が動く予定・・・・つもりです。


続きはのんびり待ってください。








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