*23話*














次の日、ルークが目を覚ましたのは太陽が昇ってやや中天に近づいた頃だった。

朝というには遅く昼というにはまだ早い時間。

目を覚ましたルークが起き上がって部屋を見廻した時にはすでにユーリの姿はなく、部屋の隅でラピードが

寝転がっているだけだった。

昨日の記憶は食事を終えたところで途切れている。

どうやら腹が満たされて気が緩んだところに疲れと眠気が襲い、抵抗する間もなくあっけなく陥落したらし

い。

眠りに落ちた時にはテーブルにいたはずなのに、目を覚ましたのはベッドの上。

自分が眠ってしまった後、ベッドまで運んでくれたようだ。

この世界に来てからずっと迷惑をかけっぱなしな事に情けなさを感じて、ルークはがっくりと肩を落とした。

朝っぱらから自己嫌悪で凹んでいたルークであったが、落ち込んだままというわけにもいかないので沈んだ

気分をため息に乗せて吐き出すと、とりあえず姿の見えないユーリを探そうとベッドから降りた。

ずっとこちらの様子を伺っていたのか、ルークがベッドから降りると同時に隅の方にいたラピードが足元ま

でやってくる。



「おはよう、ラピード」



ルークが挨拶をすると、それに返事をするようにバウッと一声返してくれた。

ソーサラーリングを装備している時のミュウのように人語を喋ることは出来ないが、ユーリとのやり取りと

いい、昨日のルークに対する行動といいまるで人間と接しているような気分にさせられる。



言葉が通じないのでそれは錯覚に過ぎないのだろうが――――。



今だって自分のブーツを探していたルークの意図を察してか、ベッドの脇に置かれていたそれを銜えて持っ

てきてくれたりと、子供の面倒を見るようにせっせとルークの世話を焼いている。

ミュウという仲間がいたせいか、ラピードのしてくる手助けにも似た行動に抵抗や違和感を感じることもな

く、まるっきり子ども扱いをされていることに気付いていないルークは嬉しそうに笑い素直に感謝の言葉を

口にした。

ラピードもそんなルークを気に入っているのか、ルークが礼と共に頭を撫でたりすることに怒ることもなく、

拒んだりといった行動を返すこともなくただ嬉しそうに尻尾をパタパタと振って礼に答えた。

ルークの身支度が整うことを確認すると、ついてくるように服の裾を銜えてひっぱった後、

入り口に向かい扉に前足を乗せて何かを訴えるようにたしたしと叩く。

何をしているのかとルークが首をかしげると、そのままの体勢で振り返り早くしろと言いたげにこちらをじ

っと見つめてくる。

その体勢と状況からようやくラピードの主張が外に出たいからドアを開けろ、だと分かってルークは苦笑を

浮かべながら扉を開ける。

開けられた隙間からするりと外に出ると、そのまま階段のほうへ向かう。

そんなラピードをぼんやり目で追っていると、階段手前で立ち止まり振り返ったラピードが追いかけてこな

いルークを急き立てているかのように短くワンと鳴いた。

まだまだ短い期間しか一緒に時間を重ねていないが、こちらをじっと見つめてくるラピードが何を求めてい

るのか何となく分かった。

どうやらルークをどこかに連れて行きたいようだ。



「ちょっと待ってくれよ。すぐ行くから」



そう言うとルークはベッドヘッドの所に掛けられていた上着を取りに部屋の中に引っ込んだ。



閉じた扉を見つめラピードはその場に伏せてルークが出てくるのを待っている。











ラピードは中天まで後数刻といった太陽を眩しげに見上げ、機嫌良さ気に目を細め大きなあくびを一つつい

た。















ルークinヴェスペリア第23話をお送りしました。

ルークが世界をまたいで二日目に突入です。
思いっきり寝坊してますね。
ラピードとルークしか出てきてない上に短くてすみません(汗)
しかもユーリの姿が無いですがちゃんとこの後出てくるんで安心してください。


続きはのんびり待ってください。








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