*18話*
どこかといわれれば、ザーフィアスと答えるだろう。
何故ならここは帝都なのだから。
だが、ルークが聞きたいのはそれではないのだろう。
そうであるならこんな、知らない所に置き去りにされた幼子のような表情は浮かべないだろう。
彼がどこか、自分の知らないとても遠くから来たのだということは理解できた。
そして普通ではない方法でここにたどり着いたのだということもまた想像することが出来た。
帰せるのかどうかは分からないが、彼が望むのならばどんな方法を用いてでも、彼の望む場所へと
帰してやりたいと、自分がどんな顔をしているのかも分かっていない子供を見つめながらユーリは
胸の奥底で思った。
フレンの言葉はルークに衝撃を与えたが、絶望を抱かせることはなかった。
衝撃を受けることに慣れてしまったのか、それともフレンの言った内容を無意識の内に悟っていた
のだろうか。ルークの頭は思考を停止させることは無く、ただずっと目覚めてからのことを考えて
いた。
ユーリと交わした会話が思い返され、頭の中に響いてくる。
――――は?マルクト?キムラスカってなんだよ
自分が場所を尋ねたときの反応。
――――国?帝国以外に国なんて聞いたことが無いぜ?
属する国を訪ねた時の戸惑ったような答え。
まさか・・・・・・・・
ここはオールドラントではないのか?
――――オールドラントって、ここはテルカ・リュミレースだぜ
そうだ、ユーリは否定したじゃないか。
ここはオールドラントではないと。
ここは自分の生きた場所ではない?
思考の流れのままにたどり着いた答えに、ルークは愕然とした。
確証のある答えではなかった。
浮かんだ瞬間馬鹿げた答えだと思った。
それでも、それが正しいのだと感じてしまうのは、きっと
自分はもう・・・・・・・・・・・
全身の音素<フォニム>を乖離させて死んでしまっているはずだからだろう
冷たくなったアッシュの体を腕に抱えながら感じた、自分がバラバラになっていく感覚。
確かに感じたその感覚。
思い返したくは無かったその事実にルークの顔が歪んだ。
「大丈夫か?」
ずっと固まったままだったルークの突然の変化に、ユーリは気遣わしげに声をかける。
ルークは大丈夫と返してきたが、弱々しいその返事や態度はとても大丈夫そうには見えなかった。
自分の考えを言葉にしてからずっとルークを見つめていたフレンの表情もどこか心配そうだった。
確認の為だったとはいえ、自分が口にしたその内容がルークにとって残酷な事実だったかもしれ
ないということが分かっていたのだろう。
「存在しないといっても、本当にそうかまでは分からない。ただ確認されていないだけかもしれ
ない」
辛そうな顔をしてすっかり静かになったルークを慰めるように言いながらも、それを否定してい
る自分にフレンは気付いていた。
魔導器<ブラスティア>のことを帝国が把握していないはずは無い。
それでも目の前の子供に更なる辛い現実を突きつけ続けることは出来なかった。
「未開の地にあるのなら確認が取れてなくても仕方が無いし、世界中を探せば見つかるかもしれ
ない。
僕も一緒に探すのを手伝うから―――――ユーリだって手伝ってくれるさ」
我ながら白々しい慰め文句だとは思いながらも、フレンはルークの肩に手を置いてこの子供が少
しでも立ち直ることが出来るようにと言葉を止めることはしなかった。
同意を求めるように見やったユーリは呆れたような表情の中に責めるような色を浮かべていた。
それでもルークを立ち直らせたいのはおんなじなのか、
「あんまり役にはたてそうにねえけど、できる範囲で手伝うさ」
フレンに向けていた表情を一変させて明るい表情と声音で言いながら、励ますようにルークの背
をたたく。
「元気出せって、まだそうって決まったわけじゃないだろ?」
「うん・・・・・・そうだね」
その言葉に励まされたわけではないだろうが、ルークの表情に若干の光が戻ってきた。
完全に納得しているようには見えないが、その表情が少しでも明るくなったことにユーリとフレン
は心の中で安堵のため息をついた。
ルークinヴェスペリア第18話をお送りしました。
ようやくルークがトリップの事実に気付きました。
そしてユーリも色々気付きました。
でもまさか他の世界からトリップしてきたとは思ってないのだろうなぁ・・・・・・・
あまりに非常識な考えすぎてそこまで頭が回らないんでしょうね、多分。
しかし、トリップ時のやり取りがようやく書けました。
早い段階で書くはずだったのに・・・・・・次こそは次こそはとここまで伸びました。
上手く書けなくて何度の書き直したんですが、違和感無く話が進んでいるのか不安です・・・・・
違和感を感じても目をつぶってくれるとうれしいです(汗)←駄目な筆者
重要部分の一つは過ぎたから、これからいろいろ話が展開する・・・・・・・予定です。
続きはのんびり待ってください。
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