*17話*
















「どこからと聞かれたらエルドラントだけど」



息を呑むようにして答えを待っていた二人をよそに、ルークはあっさりとした口調で

答えた。

その答えはユーリが何となく察していた通り、聞き覚えの無い地名だった。



「エルドラント・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」



何となく予測していたユーリはオウム返しにその聞き覚えの無い地名をつぶやくだけ

だったが、そうではないフレンの方は難しい顔をして、無言のまま何かを考えるよう

にあごに手をやりルークの顔を見つめて黙り

込んでしまった。

まっすぐに見つめるその視線は何かを確認するかのようにどこか探るような色を宿し

ていて、それを向けられているルークは居心地悪そうに身じろいだ。

後ろめたいことなど何にも無いのに居たたまれなくなってきたルークがねを上げる前

に、ある程度考えをまとめ終えたのだろう、あごにやっていた腕を下ろして真剣な表

情はそのままに訊いて来た。



「そのエルドラントはどこら辺にある街なのか分かるかい?」

「え?あー、うん。大体の位置になるけど、それでいいか?」

「それでかまわないよ」



何か考えがあるのだろう、詰問するようなフレンの口調に物を言いたくはあったが、

それをグッとこらえてユーリは無言を貫く。



「ユリアシティの近くだよ。でも、俺達が突入する時に落下してきて、ローレライを

解放した時に崩壊したはずだから、今は多分タタル渓谷の近くじゃないかな。

ああ、それと。エルドラントは街じゃなくて前の戦争で崩落したホド島のレプリカだよ」



答えるルークの脳裏にエルドラントで分かれた仲間たちの姿がよぎった。

みんなあれから無事に脱出できたんだろうか・・・・・・

最後まで確認することが出来なかった仲間の安否に想いをはせるルークをフレンが現実

に引き戻す。



「ルーク。僕の考えを聞いてくれるかい?」

「・・・・・・かまわないけど?」



こちらが戸惑ってしまいそうなほど深刻な表情を浮かべながら聞いてくるフレンに、ルーク

はどこか嫌な予感を感じながらも了承の言葉を返す。

その答えを受けてフレンは言い辛そうにためらいように、少し間を置いて言葉を続けた。



「君の言っているエルドラントはこの世界には存在しないと思う」



「えっ!!!!!」



告げられた真実に驚きの声と共にルークの表情が消えた。



「先の戦争で街が崩落したという話は聞いたことが無い。ただ記録に残っていないだけか

もしれないけど、ルークがいたというエルドラントは最近の話だろう?

島というならそれなりの大きさだということで、落下してきたということはそれが浮いて

いたというわけだよね?」



ルークの頭の中で警報が鳴り響いた気がした。

多分それはその先の言葉を予想してしまい理解したくないと思う理性が上げたものだった

のだろう。



「そうだけど・・・・・・」



しかし、口からもれたのは相手の言葉をとめる言葉ではなく肯定の言葉。

故に警報が鳴り響く先の言葉はフレンの口から吐き出された。







「そんな技術は今この時代には存在しない。だから君のいたという場所が存在することは

有り得ないんだ」





吐き出されたフレンの言葉は、再びルークの思考を停止させるのには十分すぎるほどの衝

撃を持っていた。









「そんな・・・・・・・それじゃあここは・・・・・・・・・

























どこなんだ」





















ルークは自分の口からかすれた声が漏れるのをどこか遠くで聞いた気がした





















ルークinヴェスペリア第17話をお送りしました。

シリアスオンリーです。
ようやくトリップした事実をルークに自覚させる為の話に入りました。
本当は4話あたりで自覚させる予定だったのに、実際には2ケタの後半になりました。
予定は未定・・・とはよくいったものです。
この手の話は書いてて楽しいんですけど、それ以上に難しいですよね。
彼らの世界に異世界トリップなんて言葉は存在しないだろうから、なるべく自然な形でそれぞれを
納得させるかは書き手の技量に掛かってくるんでしょうけど・・・・・・自分の文才の無さが憎い
完全に言葉にさせずにそれぞれ含むものを残すか、それとも言葉にさせたほうがいいのか。
明確にせず含むものを残したほうが、本編に入った時に色々と展開させられそうですけどね。
悩みどころです。


続きはのんびり待ってください。








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