*14話*














ほんわかした空気が二人の間に流れた時、ずっとルークの足元で丸まって大人しくして

いたラピードが、何かに反応するように身を起こしベッドから降りると、じっと扉を見

つめてワンと一声ほえた。

突然のことにルークは戸惑ったように瞬いた。



「どうしたんだ?」



訳が分からずに首をかしげているルークの横で、ユーリは何かに気付いたような顔をし

て立ち上がる。じっと扉を見つめているラピードの横を通り過ぎるとドアノブをつかん

で扉を開いた。

誰もいないかと思われた扉の先には、両腕いっぱいに物を抱えたフレンが困った顔をし

て立っていた。




「ありがとう助かったよ。両手がふさがっていたんでどうしようかと困り果てていた所

だったんだ」

「礼はラピードに言えよ。それにしても・・・・・声をかけるとか他にも方法があった

だろう、まさか気付いてもらえるまでずっと待つつもりだったわけじゃねえだろうな」

「まさか。その時はその時でまた別の方法を考えるさ」



フレンの腕に気を抜いたら零れ落ちそうなほど物が積まれている光景に、ユーリは疑問

と少々呆れたような目を向けた。

ユーリのため息交じりの言葉に、肩を軽く上げつつすがすがしい笑顔を浮かべて何を当

たり前な事をとばかりに返してくるフレンに、ユーリはため息をつく事で答えてフレン

が部屋に入りやすいように身を引いた。



「そんで?その腕に呆れるほど抱えてるやつはどうしたんだ?さっき別れた時にはなか

ったと思うんだけど?」

「ルークがつかまってた荷物を別れ際に渡されただろ。それがカンドックさんの落とし

た最後のひとつだったらしくてね。お礼とお詫びだって押し付けられたんだよ」



ユーリの横を通り抜けながらフレンは答えて、腕に抱えたものをテーブルの上に置く。

置かれてはじめて分かった荷物の全貌と、その量の多さにユーリは眉をひそめると、



「これを全部か?お礼ったって、多すぎだろ」

「全部って訳じゃないさ。まあ半分くらいはそうだけど、後はここに来る途中であった

皆が色々渡してきて結果的にこんな量になったわけだけど」

「ったく、みんな生活厳しいだろうに無理しやがって・・・・・って誰だよ。ミートパ

イそのまま積んだの他のに付いてんぞ」



テーブルに置かれたものを一つ一つ手にとって確かめていたユーリは、おそらく真ん中

らへんに置かれていたのだろうそれに、呆れた声をあげて指についてしまったソースを

舐めつつ眉をしかめた。

そんな二人のやり取りを聞いていて、気になったのだろう。ベッドから降りてきてテーブル

を覗き込んだルークはその量の多さに驚いた。



「こんなにたくさん・・・・・・・どうしよう。俺、返せるもの何も持ってないよ」




本気で困ったような声を上げるルークに、ユーリとフレンは顔を見合わせ二人とも苦笑

を浮かべた。




「別にお返しなんて期待してねえと思うぜ。遠慮せずにもらっちまえ」




押し付けてきたであろう者達の心当たりが大いにあるユーリは、後で礼に行くかと思い

つつもそんなことはおくびにも出さずにルークを安心させるように言った。

そんなユーリの心の内など知るわけもなく、困りながらもユーリの意見に同意できない

ルークは眉をしかめて振り返り、





「そんなわけにはいかないよ」



「僕もユーリと同じでお返しはいいと思うよ」





必死になって言い返すルークの両肩に手を置いて、フレンはなだめるような口調でそう

言い穏やかな笑みを浮かべ付け加えるように、



「お礼は言うべきだと思うけど、それ以上はみんな求めていないさ。

それでも納得できないなら、みんなが困っている時に手伝うとかそういうので返せばい

いんじゃないかな?」



「そうする。体調を早く戻して色々手伝うよ」



「張り切りすぎてまた水路に落ちんなよ」



「っ、気をつけるってば。まぜっかえす事ないじゃないか!」



フレンの提案にようやく笑顔を見せたルークだったが、横から意地の悪い笑みを浮かべ

たユーリの言葉に顔を真っ赤にするとバツが悪くなったのか頬を膨らませてそっぽを向

いてしまった。

そんなルークの反応がおかしかったのか、ユーリとフレンが同時に噴出して部屋に二人

分の笑い声が響いた。

二人に笑われ拗ねたように唇を尖らせたルークではあったが、二人の笑いに引きずられ

るように自然と笑いがこぼれてきてやがて部屋にもう一人分の笑い声が加わった。











明るい雰囲気に包まれた部屋に穏やかな昼下がりの陽気が差し込んでいた。





















『って、二人とも笑いすぎだから』

『そう言うルークだって爆笑してんだろ』











ルークinヴェスペリア第14話をお送りしました。

フレンが合流しました。
腕にはお礼や下町の人達からの贈り物が満載。
水路を流されて一日でルークは下町の有名人になっていると思うんですよ。
道に倒れてたところを拾われた子供という事で何にも持ってないんじゃないかという話になり
女将さん方が服とか必要になりそうな日用品を持ち寄ってきたんじゃないかと。
ルークを下町のアイドルにしたくなる今日この頃。

フレンって絶対天然だと思うんですけどそう思うのは私だけでしょうか?


続きはのんびり待ってください。








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