*12話*














ユーリは持ってきた椅子をベッドの近くに置くと、一緒に持ってきていた袋から林檎を取り出すと、ルークの

頭の上にこつんと置いた。



「え?あ、何?」



ルークは前触れもなく頭に置かれた物に、手を伸ばした。

手にとって見ると、それは部屋を出る前にかじっていた林檎だった。

ルークがはじかれたように顔を上げると、ユーリが椅子に腰掛ける所だった。

問い掛けるようなルークの視線に、何を疑問に思っているのか首を傾げたがすぐにその答えに辿り着いた。



「腹減ってたんだろ?食べるのはかまわねえけど、残すのはいただけないぜ?」



口元に笑みを浮かべながらそう言って、ユーリは一緒に持ってきていた袋をベッドの隅に置いた。



「ごめん」

「? 何謝ってんだよ。って、いうかお前さっきから謝ってばかりだな。

そんなに怒られるような事ばっかりやってるわけじゃねえだろうが」



責めているふうでもない言葉にしゅんとしてしまったルークに、ユーリは首をかしげた。



「怒られるような事っていうか・・・その・・・・」



言いよどむルークに、ユーリは眉をひそめる。



「なんだよ。はっきり言えよ」

「・・・・・・テーブルの林檎・・・・・・・・食べたんだ・・・・」



重大な事実を言うように重々しく言われた内容に、ユーリは思わず苦笑してしまった。

深刻な顔をして何をいうかと思えば・・・・・・・全く



「なんだそんなことか。深刻そうにいうからなんだと思っただろうが、んなの見りゃ分かるよ。そんな深刻

な顔して言うほどの事か?」

「なんだそんなことか、じゃないよ。人のものを勝手に食べるのは悪い事じゃないか」

「悪い事なのにやっちゃったんだなルークは」

「うっ・・・・・・」



意地の悪いユーリの返しに、言葉に詰まるルーク。

その引きつった様な顔がツボにはまったのかユーリが噴き出した。



「ははっ、別に気にしちゃいねーよ。元々お前に食べさせるために買ったわけだし、それに――――・・・」



ルークを安心させるように表情を緩ませ、ルークの頭に手を置いて遠慮無しに撫でると、



「子供がそう遠慮するもんじゃねぇさ」



乱暴に撫でられて髪がぐしゃぐしゃになるのが嫌でユーリの手に抵抗していたルークは、言われた言葉に違和

感を感じて動きを止めた。

それが何なのか考え、すぐにそれの正体に気付いた。



子供・・・・・・



17歳の姿の時にも言われた言葉だが、体が縮んだ―――生きた年月相応の姿になった――今のルークにかけられ

た子供という言葉は、同じ言葉だが今まで言われた言葉とどこか違うのだ。

その言葉は、包み込まれているような柔らかな感情が感じ取れた。

今までの姿のままだったらありえないその感情。

これがこの姿の歳の子供に対する普通の感情なのだろうか?

そんなことを思いながら、ルークは戸惑いを隠せなかった。



急に黙り込んでしまったルークに、ユーリは首をかしげた。

言った内容はいたって普通だったつもりなのだが、ルークの反応は戸惑っている者のそれだった。

なぜ戸惑っているのか理由を聞いてみたくはあったが、あえて問わずに彼が話したくなるまで、あるいはもう

少しお互いが理解しあえるまで待とうと思った。

しかし、このままお互い黙ったままというのもなんなので、先程から訊こう訊こうと思っていた事を口にした。



「そういや、何で水路になんか落ちたんだ?柵はねえけどそうそう落ちるもんじゃねえと思うんだけど」



そう疑問を投げかけたとたん、ルークの体がびくっと震える。

怯えるというより何か触れられたくない事に触れられた時の反応だった。

ルークは迷うように視線を泳がせ、気まずそうにユーリを見上げて、



「・・・・・・・・怒らないか?」

「それは内容によるな」

「・・ん〜・・・・・・・・・」



ルークは再び黙り込んでしばし考え込むように腕を組み、うんうん唸っていたが、やがて諦めたように肩を落

とし、意を決したようにしかしまだ戸惑うように視線を泳がせながら口を開いた。











ルークinヴェスペリア第12話をお送りしました。

子供って言葉はアビス時代にも言われても、やっぱり普通の7歳児に対する言葉とは違うと思うんですよ。
その言葉をかけた人も7年しか生きていない子供に対するようなそういう感情を込めて言ってても、普通の
7歳児に対する言葉とは違うだろうし。
視覚的な情報ってのは大きいですからね。やっぱり無意識のどこかで17歳として見てしまう所は絶対ある
と思うんですよ。
だからこれからもちょっとした言葉に違和感を感じることはあるんでしょうね。
しかし、ようやくユーリのターンがやってきましたよ。
ユリルクのはずなのにな〜ぜ〜?
変わりにラピードが空気になったけど気にしない。
やっと話が本筋に戻ってきた気がします。
次の話かその次の話らへんでルークにトリップの自覚ができるかと・・・・・
自覚させるまでに何話かかってるんでしょうねホント。
自分が書きたいものを書いてるので私はとっても楽しいですけどね。ははは


続きはのんびり待ってください。








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