*11話*














「ほら」





目の前に差し出されるカップ。

入っているホットミルクから立ち上る湯気は、差し出してくるユーリの顔をかすませる。



ルークは今ベッドの上にいた。

水路から引き上げられて下町の人立ちにもみくちゃにされた後、濡れているルークの為に

もう着れなくなった子供の服を取りに行っていた服屋の女将に、濡れたまま路地に

留まったままだった事を怒られ、持ってきた服を押し付けられると追い立てるよう

に部屋に向かわされたのだ。

残された荷物の持ち主を捜す為なのか、フレンはその場に残っていた。

部屋に戻ると濡れた服を脱がされ貰った服に変えられると、有無を言わさずベッドに押し

込まれたのだった。



「ありがとう・・・・・ごめん、迷惑ばかりかけているね」



差し出されたミルクを礼を言いながら受け取り、ルークは申し訳なさそうに謝る。

しかしすぐに返事が返ってくることはなく気まずい沈黙に、ルークは手持ち無沙汰に手の

中のホットミルクに視線を落とした。

手に感じる熱さに少し冷ましてから飲もうと息を吹きかけていると、肩にかけられていた

タオルがずり落ちそうになり、慌てて空いているほうの手で押える。

そんなルークの様子を窓枠に体を預けながら見ていたユーリは、小さく呟いた。



「一応、自覚はあんのな」



それが聞こえたのかカップに吹きかけていた息が止まり、ちらりとこちらに視線が向けら

れる。

無言のままユーリを見ていたルークだったが、何かを言おうとしてしかし迷うように口が

薄く開いては閉じを繰り返していた。

結局何も言わないまま視線を手元に戻すと、ほどよく冷めていたホットミルクに口をつける。

部屋にミルクをすする音が響いた。

その静けさに耐えられなくなったわけではないのだろうが、ユーリは大きくため息をつく

と窓枠から離れて、テーブルに向かう。

その途中でルークの頭を少々乱暴に撫で、



「別に責めてるわけじゃねえよ。十分反省してるみたいだしな」



宥めるように軽くぽんぽんと叩くとそのまま振り返らずに行ってしまう。

その後姿を目で追いながらまだ少ししょんぼりしているルークの視界を、ラピードの顔が

さえぎった。



「!!!!」



突然の事にびっくりしたルークは肩をはねあげ思いっきり後ろに身を引く。

その後を追うようにラピードはベッドに前足を乗せ、ルークの頬をべろんとひとなめした。

あまりの驚きに先程のしょんぼり感などどこかに吹っ飛んでしまったルークは茫然として

いたが、前足で膝を叩かれ我に返る。

いまだ目の前にあるラピードの顔に体を引きつつも、こちらを見てくる瞳にはどこか気遣

うような色があるような気がした。

もしかしたら気のせいかもしれないが、それでもこみ上げてくるのはホンワカした嬉しさ

で、ルークは嬉しそうに笑いお礼の気持ちを込めてラピードの頭を撫でた。

普段だったら人に撫でられる事を良しとしないラピードであったが、ルークの手を拒む事

はせずにただ満足そうにフンと鼻を鳴らしただけだった。

そんなホンワカしている子供と犬に、椅子と紙袋を抱えて戻ってきたユーリは少し驚いた

ような顔をした後、微笑ましそうに目を細めた。









ルークinヴェスペリア第11話をお送りしました。
なんかまたラピードのターンな気がする。
ユーリが甘くならないのはなんでなんでしょう。
まだちょっとギクシャクしている気がする・・・・・・・ただユーリにルークの頭を撫でさ
せたかっただけなのになんでだ??
謎です。
いい加減ルークにトリップした事を気付かせたいのに、キャラが勝手に動いて話が進まない
です。
つ、次こそは・・・・・・・できるといいな(遠い目)


続きはのんびり待ってください。








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