*10話*














「正直な気持ちを言っただけだろ。そんな目くじら立てるようなことかよ」



責めるような二つの視線に、不満そうにユーリはもらした。

そして、大きくため息をついていると、前に垂れていた髪が引っ張られた。



「ん、なんだ?」



「ごめんなさい」





抱えたルーク見ると、視線が合った瞬間に謝られる。

腕の中の子供はひどく思いつめたような顔をしていた。



「迷惑かけた」

「本当だぜ、全く」

「ユーリっ!!」



申し訳なさいっぱいで言ったルークに追い討ちをかけるようなユーリの言動に、フレンは

思わず非難の声を上げ、ポカリと一発ユーリの頭に拳骨を落とす。

当然今度はユーリが非難の声を上げるわけだが、その言葉をフレンが聞くわけもなく、

ユーリの抗議は無視され、フレンの意識はユーリの腕の中で縮こまってしまった子

供に向かっていた。

無視されたユーリは恨みがましい目でフレンを見つつ、「このやろう」とか「後で覚え

とけよ」とか思ったであろう表情を浮かべていたが、すぐに仕方ねえなというよう

な表情に変わる。



「ルーク・・・・だったよね。別にユーリは君を責めているわけじゃないんだよ。

ただ、ユーリはこの通りひねくれているからね、言葉通りにとらない方がいい」

「フレーン。人の悪口は本人がいない所で言ってくれ。全部聞こえてるぞ」



真面目な顔をして言うフレンに、棒読み口調で横からユーリが抗議の声を上げた。



「本当の事だろう?君はそれでいいのかもしれないが、誤解したままのルークが可哀想

じゃないか」

「余計なお世話だ」

「全く君はいつもそうやって・・・・」

「おっと、またフレンの小言が始まったか」

「・・・・・ユーリ・・・・・・」



最初はルークへのフォローだったはずの言葉は、段々と言い合いに発展していってしまう。

最初は申し訳なさに縮こまっていたルークも、頭上を飛び交う口論にどうしたらいいの

か分からずに困惑の色をにじませた。

仲の良さから来るものなのだろうが、間に挟まれている者にはいい迷惑である。

漫才にも似たその口論は口を挟む隙などあろうはずもなく、間に挟まれたルークはただ

ただ困ったように二人を見上げていた。

宿につくまで続くと思われた口論は、二人の声を聞きつけたのかこちらに向かって走って

くる下町の人達の呼びかけて来る声で一応終局を迎えた。















それから走り寄ってきた下町の人々は、ルークが無事であった事に安堵しあい、ルークの

体の冷たさに慌てて服を取りに走ってくれる者もいれば、大事に至らなかった事に喜び

ルークの頭をぐしゃぐしゃになるまで撫でたり、助け出したユーリの背中を叩く者がいたり

してと、下町の一角はちょっとした喧騒に包まれた。

一緒にいたフレンも例外ではなく、ユーリ同様背中を叩かれたり近況を聞かれたり小突

かれたりと忙しかった。

そんなわいわいがやがやに慣れているユーリとフレンは楽しそうに対応していたのだが、

こうゆう状況に置かれる事があまりなかったルークは目を白黒させて、されるがまま

になっていた。

しかし自分を心配して心の底から無事を喜んで言葉をかけてくれる人々に、ルークはそ

の優しさや暖かさに心からの笑顔と感謝を返した。









ルークinヴェスペリア第10話をお送りしました。
ユーリとフレンの掛け合いがメインの回です。おかげでルークが空気になりかけてます。
ユリルク小説なのに何たる事・・・・・・・でも書いてて楽しかったのは事実。 いつか
ルークにもこのレベルでユーリと掛け合いさせたいです。
まだ出会ったばかりだから、お互いの理解を深める事が第一でしょうけど、本編が始まる
頃にはこうなっててほしい。
まだまだ道は長いなあ・・・・・・・・・


続きはのんびり待ってください。









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