*4話*







柄を握り締めた途端、剣は重力を思い出したように、手に重さを伝える。

縮んでしまったルークの身の丈ほどの長さのそれは、見た目ほど重くは無かった。



「体から剣を出すなんて、随分変わった特技だな。どういう仕掛けなんだか」



体から出てきた剣を握り締めたままほうけているルークを、横目で見つつユーリは呟いた。



「わ、分かんない」



特に返事を期待せずに言った言葉に律儀に返事を返してくるルーク。

ふ〜ん、と生返事を返しながら、ユーリはルークから剣に視線を戻した。



「よく・・・分からないけど。もしかしたら、ローレライの仕業かも・・・・・・」

「ローレライ?」



また聞いた事のない名前が出てきたなと、ユーリが重ねてたずねようとした時、ノックも無しに

勢いよく扉が開かれ、10歳くらいの少年が飛び込んできた。



「大変だよ、ユーリっ!!!」

「よおテッド。何があったかしらねえけど、一応ノックぐらいはしようぜ。病人もいるわけだし」



飛び込んできた勢いのまま叫ぶテッド少年に、ユーリは苦笑を浮かべながら、顎でルークを差した。



「え?・・・あっご、ごめん。起こしちゃった?」



ユーリに示されてようやくベッドの上にいるルークに意識が向いたテッドは、

気まずそうに謝った。

そんなテッドは、ルークが気にするなというように笑って首を振ると、しおらしい姿は何処へやら、

すぐにぱっと顔を輝かせ、ベッドに詰め寄る。

そして、ルークの顔を覗き込み、



「もう大丈夫なの?ずっと眠ったままだったから、心配してたんだよ。それにユーリも

心配して・・・・」

「何か用だったんじゃないのか?」



ずっと眠ったままだったにしては元気そうなルークに、まくし立てるように質問するテッドを、

ユーリは言葉をかぶせるようにして止める。

言われたテッドは、すぐにここに来た目的を思い出し、



「そうだった!大変なんだよユーリ。カンドックさんが騎士団ともめて、水路に荷物を落とし

ちゃって、皆で探してるんだ」

「また随分と地味で派手な事になってんな」



ため息をつき、興味なさそうに答えるユーリ。

しかし、ルークと外とをちらりと見たその心境は、やはり心配なのだろう。



「行ってきなよ」

「ん?」



そんなユーリの様子に、ルークは笑って背を押すように言った。

ユーリの分かり辛い心配に気付いたわけではないが、彼は行きたいのではないか。

そう思ったのだ。



「俺は大丈夫だし、早く行かないと、荷物、どんどん流されて行っちゃうんじゃないか?」

「そうだよユーリ。早く早く!!」



ルークの言葉に我が意を得たりと、テッドがユーリの袖を持ってドアの方へと引っ張る。

それに苦笑を浮かべ、ハイハイとやる気無く相槌を打った後、肩越しにルークを振り返り、



「悪いなルーク。ちょっと行ってくるわ――――ラピード、ルークの事頼むな」



後半、ずっと部屋の隅で大人しく座っていたラピードに声をかけて、部屋を飛び出していく。

そこでルークはようやくラピードの存在に気付いた。

常に視界の隅にあったはずなのだが、気が動転しすぎて頭に入ってなかったようだ。



「犬?」



無意識の内に疑問が口を出る。

いや、犬なのは分かる。たとえ顔に傷跡があろうが、体が狼のように大きかろうが、

口にキセルを咥えてようが、帯剣してようが、百歩譲って犬だと認識できる。

しかし、普通犬はキセルを咥えてないし、帯剣もしていないだろう。

一瞬本当に犬かと疑ってしまったルークに罪は無い。

問い掛けられたラピードのほうも、その手の疑問は気にするほどの事でもないのか、

耳を揺らしただけで、じっとルークを見つめている以外は特に反応を返さなかった。

しかし、見つめられている方は、何か落ち着かない。

何か自分に変な所でもあるのだろうか、そんな不安が首をもたげ始めた頃、





ぐううううううううう





なんとも間の抜けた音が部屋に響いた。












ルークinヴェスペリア第4話をお送りしました。
ローレライの鍵が出現です。
出現の仕方がまるでウ○ナのようですが気にしない方向でお願いします。
このローレライの鍵は本編が始まった後に重要になってくる予定ではありますが、
今のところそんなに重要ではなかったり。
そして、テッド君登場。
彼が一番ルークの実年齢に近いと思うので、二人で子供子供した遊びをさせてみたい今日この頃。
ユリルクを目指しているはずなのに、早々にルークとユーリが別々になってます。
ルークに対して過保護なユーリを書けるのはいつの日か・・・・・・(遠い目)

続きはのんびり待ってください。











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