*宵闇にて*
この話はレイルクです。
設定は拍手のシュヴァルク設定です。
それらが了承できる方のみスクロールでお進みください。
駄目な方は申し訳ないですが <こちら> からお帰りください。
夜目が覚めた。
隣に目をやると、眠っているレイヴンの顔が見えた。
自分を包み込むようにまわされた腕からは力が抜け、むき出しの肩が呼吸に合わせてゆっくり上下していて、彼が
深く眠り込んでいるのがよく分かった。
起きている時と違ってどこかストイックな顔にルークは苦笑を浮かべた。
同じ顔のはずなのに、いつも浮かべている人懐っこい笑みが浮かんでいないせいか、はたまたいつも括っている髪
が下ろされているからか、目が覚めている時とはまるで別人だ。
実は別人ですといわれても、今なら信じられそうだ。
起こさないように気をつけながら、無精ひげのうかぶ頬に手を伸ばす。
あまり刺激を与えないようにそっと触れると、自分より低い冷たいように感じる体温を感じた。
視線を下へ移すと、体に埋め込まれた心臓魔導器<セロスブラスティア>が脈打っているのが見えた。
彼がちゃんと生きている証。
無意識の内に止めていた息を吐き出す。
眠っているだけだと分かっていても、目を閉じて動かない様子はどうも心臓に悪い。
彼は一回死ぬ事を選んだ。
自分はその時、彼をこちら側に引き止める“くい”にはなれなかった。
レイヴンをこちら側に引き戻したのはユーリだ。
そのときの事を思い出すたび、自分の真ん中に風がふく。
さっきまでレイヴンの意識は自分一人のものだったというのに・・・・・・・。
ルークは自分の女々しい考えを頭を振るう事で振り払うが、すっかり沈んでしまった気持ちはどうしようもなく、
とりあえず水でも飲んで気分を入れ替えようと、体を起こそうとするが腕に力を入れた。
しかし、こちらの世界に来てからすっかり弱くなってしまった手足は自分の想いとは裏腹に動いてくれず、なかな
か体を起こすことができない。
ついこの間まで自由に動く事ができたのが嘘のようだ。
悪戦苦闘してようやくベッドの端まで辿り付き、ベッドヘッドを掴んでようやく体を起こすことができた。
なんともいえない達成感にため息をついた瞬間、後ろからうめき声が聞こえた。
散々動き回った気がするし、起こしてしまっただろうかとレイヴンを振り返る。
そこには先ほどと変わらないレイヴンの寝顔が見えた。
さっきのうめき声はただの寝言だったようで、目を覚ましたような様子はない。
ほっとしてため息をつくと、ルークはふらつく足で上手くバランスをとりつつ水差しの置いてある隣室に向かう。
健康な頃では考えられないほど時間をかけて辿り付き、水差しの置いてあるテーブルの椅子に腰掛けてコップに水
を注ぎ、ようやく目的の水にありつけた。
ここまで移動するだけでも大分疲れてしまったルークは少し休憩してからベッドに戻ろうと、力を抜いたときだっ
た。
突然背後から強い力で抱きつかれた。
「うわっ」
完全に気を抜いていたときだったので、今の時間を配慮する余裕すらなく大きな声を上げてしまった。
一瞬何がおきたのか分からずにうろたえたルークだったが、ふわりと香った覚えのある体臭と、頬に当たる髪色か
ら事態を察する事ができた。
「レイヴン、急に抱きついてきたらびっくりするだろう?」
痛いほどの力で抱きついてくるレイヴンを振り払う事はせずにただルークは声を掛けた。
しかし、返事はない。
それどころか抱きしめてくる力がさらに強まった気がした。
「・・・・・・・・レイヴン?」
いつもと様子が違う事に戸惑ってルークはレイヴンの名を呼ぶが、やはり返事がない。
どうしたらいいのか分からなくなったルークは途方にくれて、ただレイヴンの頭を優しく撫でる事しかできなかっ
た。
そしてふと、自分を抱きしめているレイヴンの手がかすかに震えていることに気付いた。
「・・・・・・・・・」
それでどうしてレイヴンがこんな状態になったのか分かってしまった。
ルークは頭を撫でている手をそのままに空いているもう片方の手を抱きしめてくる手に重ねた。
弾かれるようにレイヴンの顔が上がった。
ようやく合った目にはルークの思っていたとおりの色が浮かんでいた。
不安と絶望と安堵。
「急にいなくなってるからおっさんびっくりしちゃったわよ。もう」
視線が合って心配そうなルークの表情に気付いたのか、レイヴンはことさら明るい口調でいって、きついほど抱き
してめいた腕の力を抜いた。
いつもの調子を取り戻したかのように見えるがまだ瞳の奥が揺れている。
あの事はいまだにレイヴンの中に疵として残っているのだろう。
「レイヴン・・・・・・・・・」
「ん?なぁに?」
「ん―――――なんでもない・・・・・・・・・ごめんな」
何か言おうと口を開いたルークだったが、つくっている事が分かるレイヴンの表情を見て言葉を飲み込む。
最後の言葉声にする事はせずに口の中で呟くにとどめる。
「何よ。言いかけて止めるって気になるでしょうよ。俺様とルー君の間に隠し事はなしでしょ?」
飲み込まれてしまったルークの言葉が気になるのか唇を尖らせてブーブー抗議してくる。
とても三十を超えたおっさんのする行動ではないと、思わず笑ってしまう。
「隠し事なんてしてないって、ただ―――」
「ただ?」
笑いながらも、話をそらすために頭を働かせる。
嘘をつくのは下手だが、言いたくない事をごまかすのは得意だ。
それでも感ずかれてしまうかもしれないが、レイヴンはルークが本当に言いたくない事を追及してくるような人間
ではない。
だから誤魔化されてくれるだろう。
「ベッドまでどうやって帰ろうかなと思って」
へらっとした笑みを浮かべながらそういうと、レイヴンの表情が一瞬きょとんとしたものに変わった後、
「なぁんだそんな事――――遠慮なく言ってくれていいのよ?ルー君をベッドまで運ぶくらいおっさんにはなんて
ことはないんだから」
「この前カロルにおんぶねだられて、力無いから無理って断ってなかったか?」
「あれはあれ、ルー君を抱き上げるのはまた違うの」
「っぷ。なんだよそれ」
言い訳にもならないことを胸をはって主張するレイヴンに思わず吹き出してしまう。
どうやら誤魔化されてくれたらしい。
「レイヴンがそう言うんだったらお願いしようかな」
「あいよ。しっかり掴まっててねお姫様」
「お姫様って、俺はおとこだっつーの」
女という意味で言ったわけではないことを理解しながらも、照れくさくてそんな答えしか返せないルークにレイヴ
ンは機嫌よさそうに笑いだけを返してきた。
完全に読まれている自分の感情に拗ねたような表情を浮かべながらも、大人しく抱き上げられる。
そのままベッドのある寝室に運ばれながらルークは目の前にあるレイヴンの方に顔をうずめる。
そして聞こえないように小さく謝罪を口にした。
ごめんなさい。
生きる事を選んだあなたに絶望を与えてしまった。
俺が消える恐怖を与えてしまって
―――――――ごめんなさい
聞こえないように言ったはずだったが、自分を抱きしめる腕が一瞬強まったような気がした。
Web拍手で連載しているシュヴァルク設定のお話です。
ずいぶん前にノートに書きなぐったものを見つけたのでこっそりアップしてみたり。
シュヴァーンがレイヴンとして生きる事を選んでユーリが行方不明後見つかった後ら辺のお話です。
この話に至る前にルークが分解しちゃったりと色々あるんですが、それはおいおい書くつもりです。
受け付けたリクエスト小説終わってないのに何書いてるんでしょうね自分、バカなのかも。
シュヴァルクはハッピーエンド前提のバッドな展開の構想しか浮かんでこない・・・・完全趣味丸出しな設定し
か存在していないという・・・・・ごめん本当に私、色々終わってるのorz
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